解決事例
Case Study
吉原隆平綜合法律事務所が行った様々な解決事例をご紹介
解決事例 個人遺産相続・遺言
亡き兄の家に住み続ける元同居人との明渡し交渉〜感情と法の狭間で見つけた着地点〜

相談前の状況

相談者様は50代・会社員の女性でした。数か月前に亡くなったお兄さんの唯一の法定相続人でもあります。お兄さんは生涯独身で、都内に一軒家を所有していました。相談者様は相続手続きを進める中で、兄の家に同居人(60代女性)が住み続けていることを知りました。
同居人は、お兄さんと約5年間同居していた元交際相手で、婚姻届は提出していなかったものの、近隣住民からは「夫婦のようだった」と見られていました。お兄さんの死後も同居人はそのまま家に住み続けており、相談者様が訪ねた際には「ここは私の家でもある」と主張し、退去を拒んでしまいました。
相談者様は当初、話し合いでの解決を試みましたが、同居人は「お兄さんから『ずっと住んでいていい』と言われていた」と主張し、話し合いは平行線をたどってしまいました。
そのため、個人間での解決は不可能だと判断し、吉原隆平綜合法律事務所に相談に行きました。


解決への流れ

弁護士に相談後、法的手続きを検討することにしました。 弁護士は、まずお兄さんの生前の意思を確認するため、同居人が保管していた兄とのLINEのやり取りや、お兄さんが友人に宛てた手紙などを精査しました。 その中には「同居人とはもう別れたい」「亡くなったら家は妹に任せる」といった記述が見つかり、同居人がお兄さんに家の使用を恒久的に認めていたとは言い難い状況が浮かび上がりました。

一方で、同居人側にも弁護士が就き、「長年の同居実績と生活実態から、黙示の使用貸借契約が成立していた」と主張しました。また、同居人は年金生活で、他に住む場所もなく、すぐの退去は生活に大きな支障をきたすと訴えてきました。 相談者様も相手が弁護士を雇ってきたこともあり、長期的な紛争になることを一番懸念していました。そのため、弁護士に早期解決を念頭に交渉をして欲しいと伝えました。

ここからは、弁護士としての手腕が問われます。裁判所は、双方の主張と証拠を踏まえたうえで、「相談者様が同居人さんに一定の解決金を支払うことを条件に、同居人が半年以内に退去する」という和解案を提示しました。 相談者様は当初、解決金を支払うことに納得がいかない様子でしたが、相場に比して相当低い解決金で長期化による精神的・経済的負担がなくなるという事実から承諾されました。 弁護士同士の交渉も、有利な方向に持っていき最終的に満足のいく和解になりました。



吉原 隆平 弁護士からのコメント

この事例では、法的には相談者様が家の所有者であり、明渡しを求める権利は明確でした。しかし、同居人の生活実態や年齢、経済状況を踏まえると、裁判所が「権利の濫用」にあたると判断する可能性も否定できませんでした。実際にそのような判断をし、内縁の妻を保護した裁判例もあります。
こうしたケースでは、感情的な対立が激化しやすいため、法的な主張と同時に、現実的な解決策を模索する姿勢が重要です。
我々が調査したことで、被相続人であるお兄さんの生前の意思が明確に記録されていたことが、相談者様にとって有利に働くこともでき、結果として、相談者様は一定の金銭負担をしたものの、早期に家屋の明渡しを受けることができ、精神的な負担も軽減されました。
相続にまつわる不動産の居住権の問題は、法と人情の間で揺れることが多いため、早めの相談と冷静な対応が鍵となります。