相談前の状況
大家から賃貸借契約の更新料の支払いを要求されてしまいました。
当時締結した契約書には更新料の支払いに関する規定もないことを伝えたものの、大家からは、「不動産価格の高騰や、物価高など日本経済状況も変化しました。今後、お互いの信頼関係を維持するためにも必要だと思います。地代も割安で提供しているので理解してほしいです。」と言われてしまいました。
最初は拒んでいたものの、大家からの請求はエスカレートしてきました。
依頼者としては、長年住んでいる土地への愛着から転居を望んでいなかったため、大家との付き合いを考えると、ある程度の金額であれば支払う意向ではあったが、話し合いの中で、大家からの請求があまりに高額であったことから、本人対応に関しては困難と考え、吉原隆平綜合法律事務所に相談に来られました。
解決への流れ
受任後、弁護士は契約書を確認しました。
やはり契約書には更新料に関する支払いに関する事項はありませんでした。
契約上は支払う必要がないものの、依頼者の意向もあり、今後の付き合いを考慮し、穏便な解決方法として、最低限の金額は支払う方向で進めました。
依頼者の要望を円滑に通すために、更新料支払義務に関する最高裁判決(「更新料支払義務が生じる旨の商慣習ないし事実たる慣習は存在しない」)を引用し、大家に内容証明として送付しました。
送付後、大家が交渉に応じる方向になったため、依頼者から伺っていた金額での譲歩案を伝えたところ、1週間以内に提案の応諾が頂けました。
吉原隆平弁護士からのコメント
本来であれば借地契約の締結時に更新料支払いの特約が存在しない以上ない以上借地人に更新料の支払い義務はありません。だが、今回は地主さんと借地人との今後の地域における付き合いが考慮されて、円満な解決に結び付けられました。
ですので、今回のケースも踏まえて、更新料の問題があった場合は専門家に相談することをお勧めいたします。