解決事例
Case Study
吉原隆平綜合法律事務所が行った様々な解決事例をご紹介
解決事例 法人不動産・建築トラブル問題
【繰り返される家賃遅延と未払いへの対応】期限設定による交渉で訴訟を回避し、円満な明渡しを実現〜

相談前の状況

不動産オーナー様は、都内に所有するマンションの一室を長年貸していましたが、ここ5年ほど、借主による家賃の支払いが不安定になっていました。毎月の家賃は約7万円で、支払いが遅れることが常態化し、時には一部のみの入金にとどまることもありました。
オーナー様はこれまで、電話や書面で何度も督促を行ってきましたが、借主からは「来月には支払う」「事情がある」といった曖昧な返答が続き、結果的に未払いが累積。最終的に、4カ月にあたる約30万円の滞納が発生していました。
このままでは物件の収益性が損なわれるだけでなく、他の入居者への影響も懸念されたため、オーナー様は契約の解除と明渡しを視野に入れ、早期解決を希望されてご相談に至りました。


解決への流れ

まず、オーナー様のご意向を踏まえ、訴訟に至る前の段階での解決を目指し、借主に対して内容証明郵便を以下の点を明確に記載し、送付しました。
①家賃の未払いが継続しており、契約上の重大な債務不履行であること
②賃貸借契約を解除する意思があること
③指定期日までに明渡しがなされない場合、法的措置を取る可能性があること
これに対し、借主からは「退去の意思はあるが、引っ越し先が見つからない」「資金的に厳しい」といった理由で、明確な退去時期の提示はありませんでした。
そこで、オーナー様の代理として、すべてのやり取りを文書化し、各対応に対して明確な期限を設けて交渉を進めました。たとえば、「○月○日までに退去日を確定すること」「○月○日までに未払い家賃の一部を支払うこと」といった形で、段階的に合意を積み重ねていきました。
このように期限を明示することで、借主側にも「次の対応を先延ばしにできない」という意識が芽生えたようで、最終的には訴訟に至ることなく、任意での明渡しが実現しました。未払い家賃についても、分割での支払い計画を取り決め、履行が始まっています。



吉原 隆平 弁護士からのコメント

不動産オーナー様にとって、家賃の滞納が続く状況は、収益面だけでなく精神的な負担も大きいものです。特に、支払いが「ゼロではない」ケースでは、対応の判断が難しくなりがちです。 今回のように、借主が一部支払いを続けていた場合、オーナー様としても強硬な手段に出ることをためらうことがありますが、結果的に問題が長期化するリスクがあります。 この事例では、訴訟に踏み切る前に、内容証明による意思表示と、期限を区切った交渉を組み合わせることで、借主に対して「これ以上の猶予はない」という現実的なプレッシャーを与えることができました。交渉の各段階で書面を活用し、記録を残すことで、仮に訴訟に移行した場合にも有利な証拠となる点も重要です。 また、借主が「引っ越し先がない」「費用がない」といった理由で退去を渋る場合でも、交渉の中で現実的なスケジュールを提示し、段階的に合意を形成することで、円満な解決に導くことが可能です。強制執行に頼らずに済んだことは、オーナー様にとっても借主にとっても、精神的・経済的な負担を軽減する結果となりました。
不動産トラブルは、初動の対応がその後の展開を大きく左右します。早い段階で専門家に相談し、戦略的に交渉を進めることで、無用な対立や損失を避けることができます。今回のように、冷静かつ計画的な対応が功を奏した好例と言えるでしょう。 問題が複雑化する前に、経験豊富な専門家の力を活用することをおすすめします。す。