相談前の状況
地方都市でマンションを経営しているオーナーのもとに、ある日、単身赴任中の入居者からの入金が途絶えました。直近1年間は支払ってもらっていたので、最初の1ヶ月は「うっかり忘れただけかもしれない」と楽観的に考えていました。
しかし、2ヶ月、3ヶ月と滞納が続き、合計で60万円を超える未払いとなりました。
電話やメール、手紙で何度も連絡を試みたものの、入居者からの返答は一切ありません。近隣住民に聞いても、最近は姿を見かけていないとのこと。オーナーは「もしかして夜逃げ?」と不安になりつつも、勝手に部屋へ立ち入るわけにもいかず、どう対応すべきか悩んでしまい吉原隆平綜合法律事務所に相談に行きました。
解決への流れ
受任後、まず、オーナーは入居者の勤務先に連絡を取り、本人の安否と現状を確認しました。すると、入居者は急な海外転勤を命じられ、慌ただしく引っ越したため、大家への連絡を失念していたことが判明。入居者は「帰国後にまとめて支払うつもりだった」と話していましたが、オーナーとしてはこのまま放置できないと判断し、代理人を通じて正式な家賃支払いの請求書を送付しました。
その後、入居者の家族とも連絡が取れ、家族が一時的に家賃を立て替えることで、未払い分を解消することに。さらに、入居者の所有物が部屋に残っていたため、家族立ち合いのもとで荷物を整理し、正式に退去手続きを完了させました。オーナーは、入居者の事情を考慮しつつも、法的な手続きを意識しながら冷静に対応することで、トラブルを円満に終わらせることができました。
吉原 隆平 弁護士からのコメント
家賃滞納が発生した場合、単なる支払い能力の問題だけでなく、今回のように入居者の急な転居や連絡不能といったケースも珍しくありません。まずは入居者やその家族、勤務先など関係者と連絡を取り、状況を正確に把握することが重要です。その上で、法的な手続きを視野に入れつつ、柔軟に解決策を探ることが、トラブルの長期化を防ぐポイントとなります。家賃保証会社の利用や、緊急連絡先の確認も、賃貸経営のリスク管理として有効です。オーナーが冷静に対応し、誠実なコミュニケーションを心がけることで、思わぬトラブルも円満に解決できる可能性があります。